junyoのほんだな

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大正=歴史の踊り場とは何か

大正時代に、現代に通じる思想やくらし、大衆文化の起点を探る意欲的佳作。

ほんの一例をあげると、金沢・兼六園兼六公園となり再度兼六園となっていく過程には、政府行政の意図だけでないいくつかの要因が絡んでいる。現在各地の、城郭復元工事もその流れで考えてみると面白くもあり、不安も無いではない。

 

近代史に精通した山室信一を中心に哲学者・鷲田清一、詩人・佐々木幹郎中原中也研究第一人者)、美学芸術学研究者・渡辺裕といった壮壮たる60代が6年間にわたって討議や多様なレクチャーをかさねた末に本書は出来た。その土台を提供したサントリー文化財団の研究会にも敬意を。

 

内容紹介

大正時代、都市化の進行や人々の意識の変化は、明治に始まった「官製の近代化」とは質の違う近代を歩み始めたのではないか。新しい社会・思想の源があったのではないか。「震災」「民生」「学区」「趣味」「娯楽」「サラリーマン」「職業婦人」「専業主婦」「地方(ぢかた)」「自由」など、この時代の言葉に着目、その発生や流行の社会状況を立ち上がらせながら、現代の社会や暮らし方の起点となった時代を読み解く。