junyoのほんだな

2020/11に移転しました。移転先はプロフィールに。

『批評の測鉛』(新保祐司・著)と「ショパン200年の肖像」展

f:id:junyobook:20200911141537p:plain

(クラッシックづいているこの頃。そは何かの巡り合わせなのであろ。)

新保さんの批評家魂は嫌いでないが、時として嗜好が排他的に作用しているのは残念。評者として、文字にあらざる対象の音楽・絵画を批評する醍醐味を熱く語っているなかで、ショパン肖像画としては友人ドラクロアのそれしか認めない態度にはがっかりする。折しも、昨年来、全国各地をショパン200年の肖像展が巡回中で、新保さんに駄作と罵られる作品がポスターの一部を飾っている。まあ、この本は1992年のものだから、そこでの話を令和の今と結びつけられては想定外かもしれん。されど、敢えて言わせてもらうなら、導き出される答は2通りある。

1.肖像画に求める価値が大衆迎合に偏向してきて、新保さんの批評が一層求められるべき時代であるということ。

2.新保さんの批評は(肖像画の世界に限るか否かは不明ながら)世の主流派たりえず埋没するであろうということ。

歴史の真実はどちらでもないかもしれんし、両方具備かもしれない。

 

補記)わたしの記述はいわゆる評論にあらず、一冊のなかの些末な一点を執拗に鑑賞した感想文なり。