junyoのほんだな

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歌え、葬られぬ者たちよ、歌え (著)ジェスミン・ウォード(訳)石川由美子

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答のない重苦しさ(とささやかながらも未来への希望の可能性)を描いたフィクションながら本作を読めば、米国黒人差別の問題に日本人がいかに程遠いところに居るかひたひたと感じられる。 

のっけから山羊の解体描写の克明ぶりに、血肉のエネルギーが溢れる。それだけじゃない。生理の血、排泄、吐瀉物、・・・人間とは動物であるという当たり前の生々しさが米国の田舎の貧困、人種差別、殺人、暴力、ドラッグと折り重なってふくらんでいる。

登場人物のなかの三者三用の視点から描き分けられる物語は、客観的な出来事さえ、感じ方が異なる、これまた至極当たり前の状況が浮き上がっている。