junyoのほんだな

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白き瓶 小説長塚節

【内容】 子規が最もその才を愛したという長塚節。旅と歌作にそのみじかい生涯を捧げたこの稀有の人をえがく鎮魂譜  

【所感】

歴史小説家として名を馳せた藤沢周平昭和19年、自身16歳で遭遇した短歌の作者 それが長塚節(ながつか・たかし)だった。 本作は小説の形式を採っているが、 藤沢が精魂傾けて描いた評伝だ。

正岡子規与謝野鉄幹の流れを汲む文人たちが 続続と登場しては リアルな会話で評論合戦を繰り広げる。 (小説家夏目漱石らも登場。) 読んでヒョエ~、と驚け。 また 当人・節の結核病状の診察カルテまでもが 克明に記され、 合間合間にも創作の短歌と時々の思いが綴られる。

今年は藤沢周平没後20年で 彼の小説『一茶』が リリー・フランキー主演で映画公開されるらしいが、 俳人一茶に興味を持ってから小説化されるまでは 20年。 長塚節の場合はそれ以上の歳月をかけて 温め続けた題材だった。

 

【評価】★★★★☆