junyoのほんだな

2020/11に移転しました。移転先はプロフィールに。

2020-08-01から1ヶ月間の記事一覧

怪獣の名はなぜガギグゲゴなのか(新潮新書)(著)黒川伊保子

(今日も懐かしい古本。)2004年刊行。著者の専門は自然言語解析。学者肌ではあるが、民間で企業活動(広告とか?)に生かす研究をしてきたらしい。発行当時はさして気にならなかったのだが、読み返してみてAI研究の世界(日本だけでなく文字通り国際社会…

佐藤春夫詩集 (シリーズ"青春の詩集"第9巻)西脇順三郎編

(書類の隙間から出てきた古書。)巻末の索引がしゃれている。詩のタイトルではなく、冒頭1行目を50音順に配列してある。ほぼ暗誦するほどでなければ役に立たない気がするが、おもしろい。 購入した時に付けたと思しき付箋が2箇所あったのだが、見慣れぬこと…

縄文を創った男たち~信長、秀吉、そして家康~(上巻)by さくや みなみ (著), みづ (イラスト)

意外と読める。すいすい読んでしまう。案外たのしく読ませるのお。ただ心配事が。。。この本で初めて信長らを知る少年がいたらと思うと。

古い玩具 : 福田晋雑文集

おだやかな文章に交じって天皇制やら政治について確たる意見を掲げられる、昭和一桁、秋田生まれの作家先生。本書で初めて接したわたしとしては一番に、絵に魅了されている(といっては失礼か)。 さて、一人の作家の多様な文に接する際は、読む順番(という…

風の生活 kaze no kurashi(佐々木幹郎詩集)

まず表紙絵からどきどきする。ご本人の作画だろうか。 タイトルにもなっている、所収の詩『風の生活(くらし)』は本書の総じてどろりとした感覚をちゃんと具えてはいるが、締めくくりは少し趣を異にする(と感じて好き)。夕暮れの描写になっているのだがあ…

江古田文学63号●特集「天才 左川ちか」●日本大学藝術学部 発行

探索本がヤフオクに出てるが、5,300円! 悔しいが雑誌1冊のために、そんなに出せない。またどこかで出遭えることを期待しよう。

お葬式 死と慰霊の日本史お葬式 (著)新谷 尚紀

もっとも強烈な記憶を植え付けたのは、霊長類学者・水原洋城さんのことば「死は事実ではない」「死は概念である」。 宗教的な謂いではなく、ニホンザルの生態観察の結果として、人間以外の動物は死体をどうもせず立ち去る事実。人間は動物の心情を勝手に想像…

内なるゲットー Le Ghetto intérieur (著)サンティアゴ・H・アミゴレナ(訳)齋藤可津子

フランス語で描かれた、第二次世界大戦ホロコースト犠牲者の家族の物語はどこまでも間接的であるがゆえに、「本当なのか」「なぜ」が付きまとって離れない哀しみの連鎖を産む。それでも永年当事者家族が黙し続けた真実が、風化しそうになる目前で堰を切った…

森鷗外:於母影研究 (慶応義塾大学国文学研究会/編)

鷗外が関与した訳詩集『於母影』の研究。読み応えある鷗外研究書に仕上がっている、ゼミの大学院生らによる研究発表。昭和60年。(各氏、現在はどうされているのか、気になるような、ならないような。) 独英の詩ばかりかと思いきや、漢詩の邦訳もあり、一番…

マルジナリア(著)エドガー・A・ポオ(訳)吉田健一(創元選書135)

昭和23年発行、定価80円の本を入手しながら埋もれさせていたのを発見。ポオの作品としては1836~1849年に雑誌発表されたノート的な断片集。個々は短文ながら、当時の著名人?(ベルナルダン・ド・サン・ピェール?..サミュエル・バツトラア?..トリュプ…

宝石の国 第1巻(アフタヌーンコミックス)

タイトルにふさわしく透明感ある色彩の絵が美しい。 チラ見しかしてないから精しくないが、僧侶姿の金剛先生にしても害敵として登場の仏像っぽい軍団にしても、戦闘モードだから、わたしには違和感たっぷり。若者にしたら仏教がどうのなんて関係ないんだろう…

【続編/第3回を読む】Momo ミヒャエル・エンデ(NHK 100分で名著)

今回はTVにもテキストにもがっがりだ。結論を先に言ってしまうなら、ミヒャエル・エンデさんが巨大すぎて、河合俊雄さんの生真面目な解説では時間内にも文量内にも収まりきらないのだ。時間論を論じるのに、TVでは唐突に仏教のマンダラが出てきて、宇宙の…

ねこもかぞく ほんのり俳句コミック

堀本裕樹さん選定俳句およそ100人100様の句たちとショートショートの文章、さらに猫メインの漫画。変わった三つ巴のコラボレーションはいろんな楽しみかたが出来る。 漫画担当のねこまきさん(夫婦ユニットのイラストレーターだって。ねこさんとまきさんでは…

憲法九条と幣原喜重郎:日本国憲法の原点の解明

憲法発案者をめぐる論争に終止符を、との目的だけなら400頁超の本を手にしなかったろう。GHQの押し付けかどうかは本当に最重要の争点なのか。 著者は序文で、日本国憲法が戦後 日本へ内実化するのがなぜ「未完」に終わったのかについても考察すると述べてい…

やさしきひと(諏佐英莉句集)

(本日2冊目。これを本屋へ見に行って、「序」にやられて即買い。)石川裕子さんの書く序が秀逸すぎて、肝心の句を読む前に買ってしまった。 だから敢えて、その冒頭を茲に引く。 序 石川裕子 この本を読む方は、このなくもがなの数頁の後、現在の諏佐さんの…

やめてみた(幻冬舎文庫)

目次にない「こんなものもやめてみた!」が各話の間にしかと挿入されていて、バリエーションを拡げている。おまけがおまけでない充実ぶりだ。左の写真はそのひとつ「トイレマット&トイレブラシ」。漫画のコマ割りがないのは気にならないが、難を言えば文字…

大砲のなかのアヒル(平和博物館を創る会編)

たった1台しかない大砲にアヒルが入って出てこないので戦争できないじゃないか。 こういう絵本が世界中に拡散すれば平和が実現するに違いない。作者ジョイ・コウレイさんと絵を描いたロビン・ベルトンさん、さらには邦訳者のかたがた、監修者等々、ありがと…

霧のなかの白い犬 GIRL WITH A WHITE DOG by ANNE BOOTH

白い犬こそ物語の重要なかぎを握っている。くわしくいえば白いジャーマンシェパード。白いことに意味がある。 より厳密には、黒いジャーマンシェパードでなければナチスドイツに大切にされなかった犬。ユダヤ人虐殺のはじまる前には、ユダヤ人が飼っているペ…

引用する精神

一番の関心(感心?)は表紙画のこと。若冲の野菜涅槃図(正確には果蔬涅槃図というけど)で飾ったセンスの佳さはすごいなあ。文中でこの画のことは、「寄り道になるが」と前置きして触れられているだけなのに。 それはそうだ、引用の世界は文献についての論…

馬語手帖 ウマと話そう

著者・河田桟さんの前世はウマに違いない。賢くて、人間と会話したかったウマだ、きっと。このたびはウマと暮らすために与那国島に移住し、ウマとの付き合いでは素人の新人愛好家というスタンスで、ウマと対話する術を学習(するふりを)し、なおかつ公開し…

明治東京名所図会(山本松谷画 山本駿次郎解説)

不遇の天才絵師・山本松谷さんの絵が、ナマで見たい。高知県立美術館に肉筆画が随分収蔵されてあるらしい。今年は其処で、高知ゆかりの山本さんらの「言葉」にフォーカスした展示が予定されている(・・・が、コロナ禍でどうなるのだろう)。 などと思い至っ…

100文字レシピ(新潮文庫)

100文字と謳うなら、せめて100文字以内に収めて欲しかった。1番目、2番目が100文字超過では残念。できれば100文字ぴったりに。著者の川津幸子さんは料理研究家と料理編集者の二足のわらじを履いてらっしゃるんだから、がんばってほしいな。 プロフィールでは…

「私ちゃんとしなきゃ」から卒業する本 & 仕事が「ツライ」と思ったら読む本

30~40代女性から支持されている"ちゃん卒"の本。 わたしの興味はイラストレーター花島百合さんのほう。著者その人と内容の吸引力(あるいは破壊力)もさることながら、絵のインパクトが。。。 同じ発行元から出ている『仕事が「ツライ」と思ったら読む本』…

命のうた ~ぼくは路上で生きた 十歳の戦争孤児~[竹内早希子(著)石井勉(絵)]

「おまえらはバイキンのかたまりだ。野良犬と同じだからな。きれいにしてやる」と薄く笑いながら言うのでした。(本文p.99) 戦後12万人以上いたとされる戦争孤児 のひとり山田清一郎さんの実話をベースにしてあるという。凄惨な話なのに読んで安らぐのは、…

詩集 原子雲の下より(青木文庫)

広島原爆投下から7年後に刊行された詩集。編纂委員会に集められた1,389編から選衡された詩はどれも、庶民老若男女の生々しい声。 とりわけ小学生高学年くらいの詩は、ことさら詩であろうとしない叫びが息づく。序文で編者の一人、峠三吉さんもこう述べている…

ちっちゃいこえ(アーサー・ビナード 脚本/丸木 俊・丸木 位里 絵/「原爆の図」より)

キノコ雲の写真を見ただけでは、なにも理解できない。サイボウも見つめて、その声を聞いて初めて生き物の物語が伝わる。(アーサー・ビナード) こどもらを 集めて紙芝居をと考えていたのに、コロナ禍のために今夏は中止に。紙芝居は密集・密接でなきゃ楽し…

Momo ミヒャエル・エンデ(NHK 100分で名著)

『モモ』は出だしから個性的だと、ドイツ語原文の解説から始まる。昔話はたいてい「Es war einmal」(英語の Once upon a time と同義)で始まるのに、『モモ』は「In alten, alten Zeiten」(すごくむかし、むかしの時代のことです)となっているらしい。通…

戦後60年〈詩と批評〉総展望 保存版(2005年発行)

古書である。しかし、今読んでもあたらし(可惜し)。詩人でも評論家でもない身して、なにゆえこんなに分厚くて値の張る本を買ったのか我ながら不思議だが、もっぱら積ん読で、列なる志士の名を眺め、ときおり想い出したように拾い読みしてるだけで豊かな気…

短歌研究 2010年1月号

たまたま10年前の雑誌で岡井隆さんと松浦寿輝さんの対談記事発見。 冒頭松浦さんが『注解する者』(岡井詩集)をもちだして「遊戯精神にはつねづね感嘆しています」といい、「表紙に詩集と書いてあるから詩なのかなあ」と、わたしと同じ感想で本当に救われた…

図書(岩波書店定期購読誌)2020年8月号

毎号の表紙《絵》を飾る司修さんの文章(表紙裏にあり)はいつもわたしの想像世界を凌駕してる。今月は『詩集 原子雲の下より』(青木文庫)の一篇、小四女児の詩を読んだ氏が、”この詩を夢に見たい"と思って、薄暗くなった夕闇の部屋で窓ガラスについた直径…