junyoのほんだな

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2019-11-01から1ヶ月間の記事一覧

サウダージ

文庫本バージョンより、この表紙デザインが好き。1992年初版の盛田隆二さんの本(小説らしい)。図書館が放出したリサイクル本の山のなかで異彩の声がした(気がした)。タイトルが意味不明だし、表紙絵の酒瓶の傾き加減?と飲み手との距離感にうっとりしち…

新編 左川ちか詩集 幻の家

入手困難だった左川ちかさんの詩集が新編第二弾(新かなづかい)の形で発刊されたのを発見し、迷わず即買い。帯に萩原朔太郎の追悼の辞があって、価値の高まる思いさえする。 それが、こちら↓ 左川ちか氏は、最近文壇に於ける 女流詩人の一人者で、 明星的地…

時間は存在しない

こんなにもわかりやすく、仰天の時間論を語った物理学書は初めてで感動モノ。カルロ・ロヴェッリさん(ホーキングの再来と評判)が凄いのはいうまでもないが、訳者冨永星さんに敬意を表します。それと、偉大なる詩人ホラティウスにも最大限の賛辞を贈るよ。 …

羽羽: 正木ゆう子句集

東北ゆかりの慰霊のことば、冤霊をタイトルに冠した一連の句が並んでいる。藤原清衡のことばが(東日本大震災という辛い記憶によって)蘇ったのだ。否、このゆう子さんが蘇らせたのだ。嗚呼、敬礼そして掌を合わせる。 冤霊てふ言葉知りたる冬の寺 冤霊に列…

柳田國男集(現代日本文學大系20巻)

柳田国男さんの『国語の将来』が読みたくて借りる。標準語教育によって、「標準語で物を考える大事」を説いている。こんにち当たり前と思っていることは当たり前ではないのだ。わたしにとっての発見は多々有るが、ひとつ引用してみる。 頑固とかわからずやと…

平泉中尊寺―金色堂と経の世界 (歴史文化ライブラリー)

はまっているテーマの本。謎に満ちた寺院と様式だけに、想像だけで書くなら何でも書けるのだが、それを戒める体にして引いてある言葉が染みる。 「本に書かれたものは、書かれなかったものの、氷山の一角なのだから」(開高健)。 嗚呼、健さんてかっこいい…

平泉 北方王国の夢 (講談社選書メチエ)

平泉について、また斉藤利男さんの著をもう一冊読む。清衡の多宝塔建立が当時、都で評判になり多宝塔建立ブームとなったというから面白いじゃないか。でも名前のコピーだけで、釈迦・多宝のニ仏並座スタイルは平泉だけだったというから、平泉文化の特異性が…

図説 平泉 ---浄土をめざしたみちのくの都

著者は岩手に生まれ、民間企業をへて岩手の博物館に勤務し、さらに地元の大学教授から平泉文化遺産センター館長をされている、平泉文化のプロフェッショナル。清衡を熱心な法華経信者だったと断定している。そのうえで「釈迦と多宝との中間を通る新たな形式…

奥州藤原三代―北方の覇者から平泉幕府構想へ (日本史リブレット人)

中尊寺の原初形態として、吾妻鏡にでてくる「多宝寺」「釈迦・多宝像」について語っている、数少ない研究者の一人。現存していないからって、たいてい無視してるんだよね。多宝如来は法華経に登場して重要な役目を担うんだけれど、一般には知名度低いのが理…

「やりがいのある仕事」という幻想(朝日新書)

森博嗣さんは人間関係で悩まない? かねがね、かれのエッセイは読みやすくて説得力があると思ってきたが、ひとつ疑問がわいた。本書のなかで、仕事を辞める人全般について述べるくだりで、「問題はすべて人間関係」と断じているんだけれど、驚愕の一文に出遭…

それでも、日本人は「戦争」を選んだ

日本の近現代史をそう簡単に語れるはずはないってことを、ずばり「三〇年代の教訓とはなにかと聞かれてすぐに答えられますか」と詰め寄ってくださる。そして中高生のために抗議した5日間をここにまとめてくれたことに感謝する。 これを読めば、国民がいかに…