junyoのほんだな

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2019-12-01から1ヶ月間の記事一覧

知魚楽(昭和文学全集33評論随想集所収/湯川秀樹)

「色紙に何かかけとか、額にする字を書けとか頼んでくる人が、あとを断たない。」で始まるエッセイは偉大なノーベル賞受賞者湯川秀樹大先生だから言える不満だろう。でも現在も受賞者の皆さんは同じような依頼攻勢に辟易しているに違いない。 さて、昭和46年…

たった一行だけの詩を、あのひとにほめられたい

この人を知らない。シンガーソングライターとか。表紙デザインとタイトルに惹かれて読む。たった1行がどこにあるのか、それだけを訪ねて読む。タイトルは170頁にでてくる歌詞「プレイボーイ・ブルー」のなかの1文の変形と判っただけで、肝心のたった1行は作…

谷川俊太郎編 辻征夫詩集(岩波文庫)

谷川さんと辻さんの、1996年1月於池袋の対談(記録)がいい。右目を網膜剥離症で手術して目が不自由になった辻さんは56歳、谷川さん64歳。二人の青少年期からを語り合うやりとりは、意外と若々しい。詩作のくるしみについての話題では、谷川さんが「もう書き…

読書は格闘技

(なぜだかブログのページが消えている)

きっとあの人は眠っているんだよ: 穂村弘の読書日記

書評ではない。読書日記なのに、書評以上に読みたくさせるヤバイ人だ。詩集・歌集が多いのも特徴的。なにより奇天烈(でもあり崇高)なのは、あとがきに「私は本のある世界に生まれたことに感謝すべきなのか。きっと、そうなんだろう」とあって、オススメ!…

詩の寺子屋 (岩波ジュニア新書)

いまどきのジュニアたちがうらやましくもあり、かわいそうでもあり。詩人もまた、いまどきの詩人はうらやましくもあり、気の毒でもある。先達の詩に接することで、生き方が変わるとすれば、しあわせというよりほかない。そうなれば、いまどきであるかどうか…

暮尾淳詩集 現代詩文庫227

お気に入りの詩「冬の日」 アブサンを飲むと 笑ってる顔が現れ しだいにそれが崩れ オリーブ色の背景に圧されて 消えてしまう。 (中略) どこかで猫が泣く。 電話が鳴る。 鉛のようなものを胸に植えて 痛みを飼いならしてゆく このごろというわけです。 ♪ ♪…

死書読見

本を横から見たら「死書読見」というタイトルに見えた。ほんとは、『見て読んで書いて、死ぬ』

兎とかたちの日本文化

本のデザインが素敵。「かわいいだけ」を目指してない表紙。著者自作の裏面デザイン。各章タイトルやページ番号に添えられた兎モチーフの図案もさりげなくてイイ。もちろん、著名な日本画だってちゃんと載っている。

『古語拾遺』を読む

古語って、現代人からみたら突飛であったりしても、どこかで今に繋がっているんだから面白い。 百姓:「おほみたから」と訓じてある。大御宝の意で人民、国民をあらわす。 蒼生:「あをひとくさ」と訓じてある。人が共生してますます栄えていくことを、青草…

書けるひとになる! 魂の文章術

歌集 まだまだです

予約本が届く。来日8年の韓国タレント、カン・ハンナ女史の初歌集は等身大そのものの生活歌が並んでいて、この1冊で彼女の喜怒哀楽はもちろん日韓のはざまにあるこころの揺らぎや、実母への思いなどが素直に読み取れる。詠み人を意識しないで鑑賞するとき、…

幻視者 創刊号

昭和47年7月1日創刊の詩誌。表紙絵は点描の犬。どなたの作か、装丁も不詳。32頁しかないが、詩の鑑賞や詩論だけでなく、斬新で飽きない趣向として、主幹?の武田隆子氏による詩劇が劇中歌の楽譜(手書き)とセットで横組みで載っている。あとは欲を言えば、…

酔って候 (文春文庫)

愛媛新聞のコラムに出ていた短編小説「鬼謀の人」のつながりで宇和島藩主・伊達宗城のことを読みたくなって、同じく司馬さんの短編集にたどり着く。なのに、惹かれるのは「酔って候」の通り、酒と詩作に夢中だった山内容堂。回り回って、今日もまた「詩」に…

美神(ミューズ)に木乃伊(みいら)れた詩人たち(1)

詩は何がしかの狂的な要素を媚薬のようにまぶしている 凄いフレーズだなあ。実際、自殺したような詩人がこんなにいるなんて。 表紙絵はシルヴィア・プラスでもなければアフマートワでもないみたいだけど、モデルがあるのか気になるところ。

江古田文学63号 特集:天才左川ちか

手に入らないと、なお読みたい。

埋もれ詩の焰ら(「華麗なる回想・若くして逝った詩人たちへの鎮魂歌」増補版)

江間章子さんの叙情ゆたかな筆致で描かれた佐川ちか、饒正太郎、伊東昌子ら。死後も詩集が出る佐川ちかと違い、脚光を浴びることなく消えそうな者たちと作品に光をあてる、同時代人江間章子さんのぬくもり(のほかにもいろいろ混じった感覚もあろう)が切な…

モダニズム詩集〈1〉 (現代詩文庫・特集版)

ひょっとして左川ちかさんの詩があるかな・・・と思えば、在り! 悪い癖で、最近読んだ最新詩集(新編左川ちか詩集「幻の家」)と比べて誤植さがし。・・・の前に、やっぱり旧仮名遣いがいいなあと思う。特に「ゐる」とか。 改行位置の差や、漢字とかなの差…

雲遊天下な日々に─森喜久雄、沢田としき、寺島珠雄の巻

沢田としきさんの絵を探そうと思っていたら、この本を発見して即買い。絵ひとすじの地味な方かなって勝手に思っていたけど、バンド音楽したり結構多彩というか、音楽と絵画の二足のわらじを履くエネルギッシュな発信者だった、と知って見る目がすこし変わる…

追録:新編 左川ちか詩集「幻の家」

「料理人が青空を握る。」ではじまる表題作「幻の家」(昭和7年)は、改作改題のあとが見てとれるように、もとの詩「死の髭」(昭和6年)と並べて配してある。死を注視する姿勢は変わらないながら、主役の座は、「死」から「幻の家」に移り、「この家は遠…