junyoのほんだな

2020/11に移転しました。移転先はプロフィールに。

2017-09-01から1ヶ月間の記事一覧

もし文豪たちが カップ焼きそばの作り方を書いたら

名だたる作家たちの文章をイメージさせるような文体もどきで綴った、いわばコント集だ。同じテーマでも、切り口がちがうと、それなりに面白いものになる証左といえる。 どれが一番おもしろいかと優劣を付けるほどのすぐれものでもないけどね。 わたしの場合…

よこまち余話

今日も木内昇の時代小説。といっても時代がさだかでない。 明治? 昭和初期? 異界に通じて不思議なものが垣間見える長屋を舞台にした小篇がいっぱい。 少年が体験したふしぎな話を、老婆はこともなげに 「そういうこともあるかもしれないねぇ。春ってのは、…

櫛挽道守(くしひきちもり)

著者のおなまえを昇(のぼり)と読むと知ってから気になっていた作家。本格的時代小説を書いている。2013年刊行。 時代の空気がにおいたつような文章が光る。 書き出しがまた美しい。 ↓↓ 歩を進めると、足下の雪が鳴いた。登瀬は、音に耳を添わせて数を唱え…

全南島論

風邪引いて発熱してるときに手に取る本ではない。硬質でなおかつ600頁ちかくあるような本を。でも読みたくなるんだから仕方ない。(当然ながら読み切る体力は無い。だから本書のレビューはいずれまたあらためて、記したい。特に歌謡論なんかは。) 吉本の南…

椅子を作る人

ネット連載小説作家・山路こいしの本格ミステリー・サスペンス。イギリスの閑静な住宅地を舞台にし、クラッシック音楽の数々をも楽しませんとする作品。 彼が参加している小説投稿サイトの登録者数は110万人を超える。 http://syosetu.com まあ大方は似たり…

旅ことばの旅

御歳88で出版された、それまでの7年間のエッセー88篇。父親がポッポやだったという文学者・中西進先生が旅にまつわるエピソードやウンチクをふんだんに盛り込んで、それでいて、旅する気分のようなふんわりした語り口で綴っておられる。(失礼ながら)やるな…

「志」の教科書

タイトルが間違っている、と思った。「志」の教育指導要領だ。 志の必要性を教育している実践者の著書として、言わんとするところはよくわかる。本書では言葉、言語化ということを重視しているんだから、教科書なんてことばの使い方も厳密であって欲しい。毎…

十津川警部 仙石線殺人事件

西村京太郎のおなじみシリーズ小説だ。東日本大震災のあと、わたしも乗車したことのある宮城県のJR仙石線が舞台なので、復興後のようすがどんなふうに扱われているか読んでみることに。 おはなしとしては、どうってことはないのだが、いわゆる熟年世代の被…

ひきこもれ

今朝、ラジオで紹介していたので 懐かしく思い、 図書館の前を通過する時に立ち寄って捜してみた。 あった。 今読んでも古くないが、今日は「ひきこもれ」ってタイトルに共感しなかった。 第一章は「ひきこもれ」って感じで進むけれど、 あとは「ひきこもり…

犬が教えてくれたこと

本屋の帯には、9割の人が読んで泣いた、みたいな文句があったので試しに読んでみた。 わたしは1割の人だった。 勿論、立ち読みで読了。

死ぬほど読書

記憶に残ったのは、あとがきに書かれた一文。 (別に感動とか、そんなんじゃない。) ↓↓ 私は仕事を引退してからじっくり読もうと長年思っている本を一点だけ、書棚に残しています。……岩波書店から刊行された全42巻の『大航海時代叢書』の25巻 おお全42巻?…

本の雑誌 2017年10 月号

翻訳で飯食うのは、ただ事ではないのだ。 【内容】 『カラマーゾフの兄弟』で火がついた新訳ブームだが、ではいまニッポンの新訳はどうなっておるのか。というわけで本の雑誌10月号の特集は「2017年、新訳の旅!」。『嵐が丘』で先鞭をつけた鴻巣友季子…

翻訳夜話

作家・村上春樹はなぜ翻訳に一生懸命なのかがわかるだけでも価値ある一冊。 【内容】(これって既成の文章のコピペだよ) 東京大学の柴田教室と翻訳学校の生徒、さらに6人の中堅翻訳家という、異なる聴衆(参加者)に向けて行った3回のフォーラムの記録。「…

広場の孤独(『広場の孤独・漢奸』所収)

一昨日の『ラ・ロシュフーコー侯爵傳説』訳者・堀田善衛つながりで一読。 昭和26年の26回芥川賞に文句なしの高評価で輝いた、とか。とりわけ題材と文体が一致している点で傑出との評。 【内容】 朝鮮戦争勃発にともない雪崩のように入ってくる電文を翻訳する…

ウンベルト・エーコの小説講座 若き作家の告白

かの有名な哲学者・記号学者ウンベルト・エーコは50歳を前にして小説家との二足のわらじをはいた。そしてなんと、学者の立場で自身の小説を分析してみせた、希有の作家なのだ。副題にある「若き作家」とは、エーコが自ら小説家としては「まだまだ若くて、こ…

ラ・ロシュフーコー侯爵傳説

昨日『ラ・ロシュフコー箴言集』を読んだ。 その本のことは 9月14日分をお読みいただくとして 今日は、そのラ・ロシュフコーの誕生日なのだ。 おお、昨日だったらドンピシャリの 奇しきごインネーン だったのですが、 1日違いでは騒ぐ意味も無く・・・ 宝く…

ラ・ロシュフコー箴言集

「およそ忠告ほど人が気前よく与えるものはない」 「よい結婚はあるが楽しい結婚はない」 「人はふつう誉められるためにしか誉めない」 17世紀のフランス侯爵ラ・ロシュフコーの残した格言のかずかず。 性悪説とは言い切れないが、人間のおろかさ・弱さ・醜…

カマキリの雪予想

【内容】 「カマキリが高いところに産卵すると大雪」との言い伝えをていねいに観察・実証した表題作ほか、小学校の図書室で出会った子ども向けノンフィクションの思い出、秘境ブータンでの豊かな時間など、2005年に発表された味わい深いエッセイ60篇を収録。…

正解するマド

【内容】 テレビアニメ『正解するカド』 から生まれた、もう一つの「正解」。 衝撃のスピンアウトノヴェライズ 野崎まどが脚本を手がけたTVアニメ『正解するカド』のノベライズを依頼された作家は、何を書けばいいのか悩むあまり精神を病みつつあった。次第…

古代インドの思想

【内容】 最大の民主主義国家であり、多様な民族・言語・宗教の坩堝であるインドをまとめる価値観とは何か。緻密な哲学思想や洗練された文学理論など、高度に発達した「知の体系」は、いかに生まれたか。厳しくも豊かな自然環境がインド人に与えた影響とは。…

思想の危険について 吉本隆明のたどった軌跡

著者は新約聖書学者で、Wikiによれば、神を信じないクリスチャンを名乗っているらしい変人。 吉本隆明論のなかでも、実に細かく検証追求している点で一読に値するが、いかんせん、詩が好きでないとか「詩はことばに対する傲慢さ」などと公言してはばからない…

藤沢周平全集別巻

藤沢周平全集25卷の大半を読みもしないで、愛好家の著名人方の思い出話や思い入れのある文章を読んで、ファンの仲間入り気分を味わっている。 【内容】 全集25巻にそえて贈る一冊。稀有の作家が遺したもの、そのゆたかな文学世界に多くの人々が文をよせた。…

毎日同じ服を着るのがおしゃれな時代

今を読み解くキーワード集三浦展/著 シンプル族/クレジットカードを退会する/ワンランクアップからワンランクダウンへ/おさがりからおあがりへ/若い男性の主婦化と老若男女同一市場/中年男性のおうち化/表参道にいらつく/かまやつ女/きれいなおじさ…

サラバンド・サラバンダ

図書館で藤沢周平作品にならんでいた。それだけの理由で手にしたのだが、表紙を見ただけで、呼ばれている気がした。本に。 【内容】 差出人にも、故人の名前にも、まったく心当たりのない香典返しの小包が自分宛てに届いた。むろん通夜も葬儀も行っていない…

敵中横断三百里

山中峯太郎著 大日本雄弁会講談社 1931年 【所感】 日露戦争の実話を題材にしたスパイ小説。太平洋戦争の戦前戦中(そして戦後も)に少年を虜にしたらしい。 当然のこととして古めかしい文章ながら、今読んでも、実にスピーディーに小気味よく物語が進んでい…

現代民俗学の課題

1986年刊。今(2017)から見ると古いのかもしれないが、国際化から取り残されている日本の民俗学が抱える問題を考察するために、「現代民俗論」勃興期に立ち帰って読みたい。 【内容】 現代民俗研究の分野に先駆的な鍬入れをし斬新な問題提起をしつづける著…

怒濤の生涯 紀元節校長一代記

この本も高知の古本屋で買った。ご当地の名物校長として戦後の地方新聞を賑わせた溝渕忠廣先生の自伝。昭和20年9月、25歳の若さで小学校長に就任したが、平坦な道ではなかった。 ことさら紀元節を祝賀するなどしたために、がんこな国粋主義者的な評も少なく…

バッタの哲学=アフォリズム 北川民次版画集

高知の古本屋で入手。限定250部のオリジナル・リト2点付・・・ではないのだが、その後造本された軽装愛蔵本1,000部の1冊。 これで十分たのしめる、おとなのための哲学絵本。 http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001278464-00

藤沢周平伝

きのうの作者・藤沢周平について知りたくなって読んだ。 【内容】 直木賞受賞作「暗殺の年輪」をはじめ数々の名作を発表し続け、没後15年を過ぎてなお読者の心を惹きつけて止まない人気作家の生涯を、郷里・山形からのまなざしで描いた力作評伝。 【所感】 …

白き瓶 小説長塚節

【内容】 子規が最もその才を愛したという長塚節。旅と歌作にそのみじかい生涯を捧げたこの稀有の人をえがく鎮魂譜 【所感】 歴史小説家として名を馳せた藤沢周平が 昭和19年、自身16歳で遭遇した短歌の作者 それが長塚節(ながつか・たかし)だった。 本作…