junyoのほんだな

2020/11に移転しました。移転先はプロフィールに。

2019-04-01から1ヶ月間の記事一覧

ミ・ト・ン (文)小川糸(画)平澤まりこ

バルト三国のひとつ、世界一美しいといわれるラトビアをモデルとした小説。美しさのベースにあるのは、伝統をまもるくらしぶり。一見平和なくらしはおぞましい惨禍の荒波にもまれ、たゆたう小舟のよう。本書では版画と文章がひとつの世界をかたづくっている…

イデオロギーと日本政治―世代で異なる「保守」と「革新」

参院選をひかえて、日本人なら知っておきたい世代間ギャップだ。日本の政治における「右」「左」がいつの間にか(時期ははっきりしてるけれど)外国のそれとは大きく乖離している事実、にくわえて世代間で奇天烈な状態になっていたとは。そういわれれば、安…

オリジン 下 (角川文庫)

残念なのは(作品サイドのことはさておき、)わたしがウイリアム・ブレイクの絵画や思想をはじめ、登場する西洋芸術に無知でありすぎることかなあ。 ストーリーは、おっと想定内に収束した感じ。上巻のスリリング感からすると、(面白いことは面白いが)やや…

オリジン 中 (角川文庫)

(アナログ的な展開?)

オリジン 上 (角川文庫)

本書には謎がいくつかあるが、最たるものは、文中に「ここをクリック」と数か所あること。デジタルブックじゃないんですけど。 内容としては驚愕の(と西洋社会の人は思うんだろう)宗教破壊小説か。科学の最新発見が人類創生の宗教観をうちくだく? さもあ…

駱駝のあくび(三宅やよい句集)

たまたま遭遇した俳人の一句に衝撃をうけ、即座に句集をネット購入したのがこれ。 帯にある詩人清水哲男の評があまりにみごとだから、全文掲載。 三宅やよいは言葉を織り出す名手だ。直球で待つとカーブ。カーブと思うと直球。今度こそカーブだと待つと、カ…

ウオッカの歴史 VODKA: A GLOBAL HISTORY

さんざん飲んでいても何も知らなかった。ウオッカは誕生地すら特定できないんだと。そんなことはさておき、多様なボトルやポスターの写真がカラーで紹介されているのを見るだけでも(飲みたくなるから)楽しい。なかでもポーランドの、とあるミニチュアボト…

方丈の猫(能祖將夫詩集)

2019年刊。タイトルにも冠している詩は元号の移り変わり目に寝ている猫をうたう。寝子。ああ仮託の仕方が安直でわかりやすいよ、あちらもこちらも。それでも、手にした理由は作者のお名前に惹かれたから。本名なのか、ペンネームなのか。いずれにしても興味…

佛教の文様 打敷の織と刺繍

仏事の祭壇などに掛ける敷物「打ち敷」に注目してデザインを紹介。日常ふれない人の方が圧倒的に多いから、文様にそれぞれ意味やルーツがあることだけでも知ってもらえたらいい。さまざまなデザイナーの人に、この手の分野にも関心を拡げてもらえたら、世の…

文房具の解剖図鑑

高級ボールペンのインク替え芯を入れ替えて筆ペンにするなど大胆かつ繊細に文房具を改造して、自分好みの仕様にしちゃった仕事師の手の内を公開。難易度や所要時間まで書いてあるが、この本を買った人の何割が実際に1つでも試行するのか、そっちに興味あり。…

誰も知らない世界のことわざ エラ・フランシス・サンダース (著), 前田 まゆみ (翻訳)

あまりの驚愕と絵のたのしさで、久しぶりに即買いした。フランス少女(?)が教えてくれる、およそ50の国の独特のことわざ。言語が違えば感覚が違うってことをおもしろく痛感。フランス語では「ザワークラウトの中で自転車をこぐ」。セルビア語では「彼の鼻…

フランス現代史(岩波新書)

2018年刊。最新の、フランスの、1940年代からの現代史を知れば欧州のややこしさが、少しわかる。対立構図があっちいき、こっちいきして、ちょいと似たところのある日本の現代史をわかるのに、少し役立つ・・・気がする。が、如何せん何度も行きつ戻りつ読ま…

終わっている臓器: もはや不要なのに存在する人体パーツ21の秘密

さすが人体解剖と医学史のプロ。聞きなれたパーツも初耳のパーツも、聞けば超わくわくの一語に尽きる。トップバッターの鋤鼻器(じょびき)は、人間が使わないはずのフェロモンを感知する器官(の一部)。そう聞くだけで興味津々。 唯一残念なのは、肝心の本…

82年生まれ、キム・ジヨン

表紙絵はシュールレアリスム画を思わせるが、明らかにモドキだ。韓国のベストセラーという理由で騒ぎ立て、作品そのものの価値を本気で図りもせずに話題性だけで採り上げる国だとすれば、ああ情けないねえ。

あの歌詞は、なぜ心に残るのか  Jポップの日本語力(祥伝社新書)

本文はつまらんが、挿入されてるコラムは楽しい。2014年現在、著者自身の子らがEXILEの『Rising Sun』を「外人さ~ん」と聞き間違えて歌っている話を紹介して、その昔のラジオ、ヤンタンであった「歌詞の聞き間違いコーナー」を回顧。金曜日、アリスの…

ふしぎなふしぎな子どもの物語―なぜ成長を描かなくなったのか?(光文社新書)

昭和には、大人になれない子どもを問題視してクローズアップした時期があった。平成になってからは、大人になることの意味が問い直されてきた。さらには、なぜ大人にならなければいけないのか、と開き直る生き方さえある。おもしろいのは、アニメでいかに表…

ことばの生まれる景色 辻山 良雄 (文), nakaban (絵)

文を翻訳して画にするのかあ、凄い。表紙絵は文春文庫『旅をする木』(星野道夫)をイメージして描かれた、nakabanさんの絵。 実に変わった企画でなりたつ本。本屋さん(辻山良雄さん)が自選本40冊について、象徴的な一文を抜粋し、あれこれ語ると同…

岳人(山岳雑誌)2019年4月号

山岳の写真を眺めるだけ・・・そんな愛好者があってもいいよね。今号表紙は畦地梅太郎の版画『山男』(1956年)。山男シリーズの中でも特にほのぼのといいなあ、実物が見たい。

関西弁で愉しむ漢詩 (寺子屋新書)

世間が万葉集でうかれてるから、わたしは漢詩を読む(へそ曲がりだ。) この人(著者)独学っぽいけど、本人が1番愉しんでるみたいで、古典学習のよい手本じゃないかな。 大阪在住であっても大阪弁と称せず関西弁とぼやかしているところは、姑息というよりう…