junyoのほんだな

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2019-05-01から1ヶ月間の記事一覧

猫城記(サンリオSF文庫)

20世紀中国文学の傑物、老舎の風刺小説。国家を揶揄したことを隠蔽するためか、SFに分類される。読んでみたいと思い立つも西日本ではなかなか見当たらない(鳥取県立図書館にあるらしいが)。古本がなんと¥5,591~¥16,281もする。表紙絵のねこ?が笑ってや…

檸檬(集英社文庫)

諏訪哲史さんの偏愛に圧されて、梶井基次郎の『檸檬』再読。いろんな版で出ているが、わたしがすきな表紙はコレ。

偏愛蔵書室

人生で一万冊以上読んできたであろう読書狂である。(わたしもそれくらいは読んでるなあ。)ベストセラー本とはほど遠い、見事な偏愛ぶりが詰まった、100冊の語り。4年と2カ月のわたる新聞連載のために、本業の創作を休止し、再読し、文献を調べ、隔絶的なほ…

タテ書きはことばの景色をつくる―タテヨコふたつの日本語がなぜ必要か?

タテ書きとヨコ書きの日本語の差異を客観視しようと、学生にアイカメラを付けさせて実験。ん~、それほどインパクト無かったね。文字・語句読みに適したヨコ書きと、文脈・つながり読みに適したタテ書き。行間をよみやすいのは、やっぱりタテ書き。悲しいの…

父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。

面白い。たとえば・・・仮想通貨は12,000年前に農業革命が起きて最初の余剰が生まれたときから存在した。クレジットの語源はラテン語の「クレーデル」、信じるという意味から始まったのだ経済は。

ミニマ・モラリア―傷ついた生活裡の省察

今日もまた、松浦寿輝さんの影響で読む一冊。 現代文明をぶったぎる舌鋒に声をうしなう。現代社会は尊厳というものを破壊しつづけているのだ。機械文明のおかげで人は「そっとしずかに、しかもぴったりドアを締めるというような習慣が忘れられていく……ファシ…

社会人としての言葉の流儀

きょうも、松浦寿輝さんのエッセイに引き寄せられて読む一冊。川村二郎さんの毒舌は一級品だわ。

よだかの星

いうまでもなく有名な、宮沢賢治の悲壮的童話。ことさら再読したのは、松浦寿輝さんがこの話の読み方について、よだかを批評する主体にとどまっていないで、読み手は客体として批評されるよだかの身・立場に、どこまで近づけるのかと問うているのではないか…

松浦寿輝 黄昏客思

本のタイトルとしては黄昏客思(こうこんかくし)でいいのだが、表紙をみた時、まるで漢詩の一節のように映ったので、こんな紹介にしてみた。事実、目次もこんな感じなのだ。 主客消失 可憐愛惜 主権在民 往時渺茫 雅俗往還 秘匿恍惚 人〓多事 孤蓬浮雲 日日…

波打ち際に生きる

このまえ読んだ松浦寿輝さんの、これまたタイトルと表紙では何の本? と思わせてくれる。内容はメインとして東京大学退官記念講演「波打ち際に生きるー研究と創作のはざまで」と彼の最終講義「Murdering the Time ー時間と現代」を収録している。東大の先生…

人外

たぶん小説なのだろうが、読み進めても「わたしたち」が何者なのか、獣に育てられたヒトなのか、突然変異のヒトもどき生物か、はたまた架空の生命体なのか、わからぬままにずぶずぶと言葉の森に分け入ってしまう・・・

本を千年つたえる 冷泉家蔵書の文化史 (朝日選書)

平安後期からの古書群、写本群を守り伝えてきた冷泉家の御蔵。そこには神がいた。代々こころから崇め守られてきた神格的御物があればこそ成立した伝承という一大事業だったのだ。その空気に触れた著者が畏敬の念をおぼえたという感覚を、できることなら体感…

時里二郎詩集「名井島」

小説の断章をくみあわせたような、ふしぎな詩世界。瀬戸内にあったであろう設定の、ほんとは「無い島」なんだろう。実在の有無はどうでもいい。折口信夫さんの歌の一部を引いているとわざわざ断り書きされてあるのが、気になって仕方ない。古典のにおいを想…

姑の遺品整理は,迷惑です

タイトルの奇抜さもさることながら、表紙絵とのギャップにこそ惹かれて読んだ。垣谷さん、どこまでが実話ですか? すてきな物語をありがとう。

足みじかおじさんの旅―やなせたかしのおとなのメルヘン

アンパンマンがヒットするまえから書きため、90歳でまとめた短編メルヘン集。やなせさんが一番書きたかった世界であり、なりたかったおじさん像なんだろう。

「その日暮らし」の人類学 もう一つの資本主義経済 (光文社新書)

永遠に経済を発展させなければいけない幻想とどこかで折り合いをつけよう。そのために出来ることってなんだろ。 われわれが途上国とみなす(ことが妥当と思うのは奢りだろ)国々の多くで大衆の基底にある「Living for Today」(その日暮らし)。視座を換えれ…

花と羅漢と 萌庵だより

書家と称さずに書の個展を開いている詩人・墨人の山本萌(もえぎ)さんのエッセイ集。なにげない日常を綴っておられるだけなのに、詩情ゆたかなのだろう、実におだやかな気持ちにさせてもらえる。そんな彼女が気まぐれ(?)で町の書の展覧会に応募して自ら…

今日の治療薬2019: 解説と便覧

業界のベストセラーらしい。素人には不要でも、医師・看護師・薬剤師には高くても必携のようで、AMAZONのウェブページでカスタマーレビューの声が生々しい。 http://urx.red/ewPD かかりつけ医が毎年あるいは隔年くらいで、ちゃんとこの手の勉強してるか患者…

続く未来へ(作成:宇和島市小中学校長会)

愛媛新聞コラムにあった冊子。昨年の西日本豪雨災害をうけた宇和島市吉田地域の記録で、同市の小中学校長らがまとめ、県内各学校へ配布するという・・・機会があれば覗いてみたい。(というわけだから、読むチャンスがあるかどうかも不明)

絶望書店: 夢をあきらめた9人が出会った物語

人生で、時には、何かをあきらめることの大事もあるだろう。激励することばかり推奨される世の中で、こんなコンセプトのもとに編集された・・・のは面白い試みだが、トップバッター・山田太一のあとはだんだんつまんなくなってきたわたし。人それぞれだから…

犬がいたから

特別な犬は出てこない小説。だから余計に親近感のわく日常。主役は、身近に犬のいる人。ほとんどは著者の実体験にもとづくらしい。ちょいと素敵な編集は、7話各篇にからむ、というか作者がイメージした楽曲のリストが、あとがきのさらにあとに載っていること…

消えたい: 虐待された人の生き方から知る心の幸せ

「死にたい」と「消えたい」の訴えの違いを明確におしえてもらった。そうなんだね。これまでわたしは「消えたい」という人は死にたいわけじゃ無い、という程度の受け止めしか出来てなかった。両者は全然違うんだ。ああ、そうともしらずに幾人の人に接してき…

亡失について

なんだかどんよりと突き刺さる新人詩人があらわれた。水下暢也。どんより、と、突き刺さる、は不釣り合いのようだが読めばわかってもらえる気がする。昨秋発行されて本年増刷。詩集としては異例なことではないのか(よく知らんが)。 「窓辺から合図を送る女…

「高ストレス社員ゼロ」の職場をつくる本

ストレスチェック義務化制度の実践マニュアルといえるだろう。が、感心したのは内容じゃなくて、著者の半生。メンタルケアを志して学んだ人は多々あれど、岡山県北部の田舎にとどまったまま活動していること。大都会へ行った方が良い面もあるだろうに、・・…

「空気」を読んでも従わない: 生き苦しさからラクになる (岩波ジュニア新書 893)

人間関係で息苦しい暮らしにうんざりしてる中高生向けの新書、と聞いただけで可哀想になってきた。日本的な、あまりに日本的な「空気」のせいというのは時代の推移とともに低年齢化しているということか。こども社会は大人社会の映し鏡。世渡り上手の道を指…