記憶における沼とその他の在処 岡田一実句集
わたし的に大注目の俳人。B6版の表紙をおおかた覆う帯にしるされた、金原瑞人さんの推薦文にすっかり惹き込まれた。ヤ・ラ・レ・タって感じ。以下全文紹介。
17という絶望的なほど短い音数で
構成された俳句は、
それ自体が世界なのではなく、
世界を想起させる触媒のようなものだと
ずっと思っていた。
ところが、この句集を読んでいるとき何度も、
一句がそのまま世界として
立ち現れる様を目にするような気持ちになってしまった。
これは俳句の掟破りなのか、革命なのか、
それとも俳句について自分が最初から思い違いをしていたのか。
読み終えて、これまで遠のいていた足が
いきなり俳句の世界に引き寄せられるのを感じた。
<金原瑞人>
わたしのお気に入り句を3つだけ掲げておく。(あんまり軽々に紹介すると勿体ない。)
冷蔵庫牛の死肉と吾を隔つ
母と海もしくは梅を夜毎見る
飛行機に百の魂浮く冬の空