2019-05-03 亡失について なんだかどんよりと突き刺さる新人詩人があらわれた。水下暢也。どんより、と、突き刺さる、は不釣り合いのようだが読めばわかってもらえる気がする。昨秋発行されて本年増刷。詩集としては異例なことではないのか(よく知らんが)。 「窓辺から合図を送る女」の一篇から冒頭を紹介。 窓から落ちたのは 柿の病葉だった 廃家の二階に上がると 床に薄い日脚がささっていた 冷めた黴を嗅ぎ 襟首を引っ張り上げて 咳を抑えた 綿屑が口に入った