詩歌集の一章(西アジア)採録の句たちの中で、わたしの西アジア感に最もフィットした作品群。
つつみ眞乃さんの句はもともと好きなタイプだが、「中村医師の砂漠の青史とこしなへ」を代表格として、われら未知の人間にとってもイメージしやすく、それでいてやっぱり日本とは異質の自然・社会の空気が漂っている。意味がもひとつ不明ながら惹かれる句たち。
夏鏡ジャガタラ文の忍びよる
ぶどう食ふアジアの混沌つまみつつ
青トカゲ尻尾でかはすソコノクニ
枯蓮や地獄に耳のありしこと
過去といふ青き匂ひの蛍かな
つつみさんは、どんな経緯で西アジアを訪れたのだろう。
もしかして、行ってないなんてことは無いと思うが。