時代へ、世界へ、理想へ 同時代クロニクル2019→2020(著)高村薫
(図書館のシールの件はさておく。)
サンデー毎日連載の時事評論として炸裂してる高村節の魅力は、こんなふうに纏め読みすると鮮明になる。どれもこれも明らかに義憤以外の何物でも無いが、嫌みもなければ、人を卑屈にはさせない。
しかも市井の人間という立ち位置からぶれないから、決して難解な表現は無いんだけれど、毎回異なる言い回しをかくも淡々と繰り出せるって物書きのプロだなと念う。
見出しに出てくるマイナスイメージ語彙を並べると、
嘘、不見識、翻弄、こじれる、無視、軽視、異様、欲望ゲーム、悲しみ、何が、何のため、課題は、課題か、厳しい、奢りの果て、疑義、揺らぎ、沈む、暴言、疑念、不実、閉塞感、危うさ、温度差、無責任、根腐れ、隔たり、喪失、無恥、絶望、不可解、・・・・(まだまだつづくよどこまでも)
毎度毎度、こんなことばばかり並べているのに、悲壮にならないんだなあ。逆に、ちょっぴり希望がないわけでもないって気がしてくる。これがプロの物書きの仕事。