junyoのほんだな

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2018-01-01から1年間の記事一覧

東大教授がおしえる やばい日本史

この手の本を、義務教育の教科書とはいわないまでも副読本に採用すればいいのに。 徳川家康は264年つづく幕府を開いたスゴイ人。 徳川家康は戦でびびってうんこをもらすヤバイ人。 既成の日本史の価値観をくつがえす魅力が満載。

社会は変えられる 世界が憧れる日本へ

現役官僚として内閣官房にいる著者の、力強い提言の書、であるまえに、行政府のリアルな矛盾を体験にもとづいて描き出したノンフィクションとして一読の要あり。東日本大震災が発生した際の福島県被災者支援をめぐる、お役所仕事の限界・越権騒ぎ・苦肉の策…

火と灰―アマチュア政治家の成功と失敗

著者マイケル・イグナティエフはカナダの首相経験もある政治学者兼ジャーナリスト。自身の体験が基底にあるうえに、古今の名著のことばを巧に引用していて、読み物として面白い。 さいごに掲げられた、著者の期待を日本のわたしも期待したい。 「私よりもず…

鳩摩羅什 法華経の来た道

平成22年に急逝した立松和平の遺作を、子息横松心平が引き継いで完成させた伝記風小説だ。 息子のペンネーム力に頷いて、よむことに。 今から1600年以上昔の偉人の片鱗を感じることができる。(わたしは、現代の描写部分の宗教くささは目をつぶって読んだ…

和本入門 千年生きる書物の世界

本の題名がいくつもあって当然の書物。それが和本の世界。(この本を何度読んだかわからない。)特殊用語はちっとも記憶に定着しないが、毎回和装本の魅力を再確認できて、いつもわくわくする。1,000年生きる和本を1,000年活かす人(すなわち和人?)になり…

影の日本史にせまる:西行から芭蕉へ

影の日本史。凡人の好奇心をくすぐるテーマだが、所詮、学問的とはいえないしろものだね。だから好き放題いえる。(学者先生達はうらやましいかも)。。。あえて堅物的なものいいをしておくと、人間心理をあんまりきれいに割り切りすぎると影が影らしくない…

魂に季語をまとった日本人

あぶないおっさんである。だが俳句ジャーナリストの彼の毒は正真だし、勉強になるし、なにより面白いから許せる。かれの云く、「俳人を馬鹿にしてもいいが、俳句を馬鹿にするな」。名言だなあ。 歳時記編集の話題もすてがたい。特に、"欠陥歳時記だ、金返せ"…

句集『猫の句も借りたい』

表紙デザインにほれぼれ。猫のオブジェは俳人キム・チャンヒの制作・撮影だって。

夏井いつきの世界一わかりやすい俳句の授業

世界一と宣言してしまっても嫌みが無くていい。内容はどうってことないから、要は夏井いつきが好きか嫌いか、それと定価1,512円を安いと思うかどうかが鍵。(わたしは立ち読みの、斜め読み派。)

子規は何を葬ったのか―空白の俳句史百年

子規によって月並み俳句と断じられた、幕末期100年の空白はほんとうにどうしようもない句作ばっかりだったのか。著者の探究心に火を付けたのは、1冊の古書『近代俳句のあけぼの』(市川一男著)との出会いだった。わたしは、その出会いにこそ感動するなあ。…

ある俳句戦記―詩華集にみる従軍俳句

重い句がならぶ。 葬り火の残れる草の蛍かな (ビルマの捕虜収容所で作られた句集『仏桑華』より) 戦争の前線にいて俳句をよめるものだろうか。終戦後にふりかえって句作するのは可能だが、はてさて。仮に詠めたとして、公開できたろうか。そんな好奇心から…

脳科学捜査官 真田夏希 (角川文庫)

ああ、きになるのは、表紙タイトル中の"夏"の字。何のねらいでわざわざ変な字形にしたのか。それを言いたいだけでここにアップ。だから以下は、おまけ。 脳科学を謳うだけあって心理分析がメインで警察捜査がすすむが、全体の印象としては科学的というより、…

京都なぞとき四季報 古書と誤解と銀河鉄道 (角川文庫)

気楽に、さらっとよめる謎解き連作、短編小説。京都の古本屋が舞台として描かれてるというので覗き読みしたが、各篇それぞれに、変わったカクテルがヒントとして冒頭に紹介されてるのがユニーク。実際には何の関係があるやら、読み終わるまでわからんのでヒ…

文字の消息

文字が降り積もる街。摩訶不思議な設定の世界にすいこまれて、先の見えない不安にこころがざわつく。読み終えて気が付けばその世界のただなかに放置された自分が居る。 強いて不満をいえば、(こんなこというのはきっとわたしだけだろうけど)表紙のタイトル…

コスモスの影にはいつも誰かが隠れている (河出文庫)

ごく普通の生活を送る人の、どこにでもありそな暮らしの一コマにもドラマが、哀しいドラマが潜んでいる。そんなドラマを寄せた短編小説集。ただ、それは一様ではなく、著者のいう"哀しみもまた豊かさ"といえるさまざまな趣をもって立ち現れるのだ。一篇一篇…

カフカ『断食芸人』“わたし”のこと

このあいだ読んだKAFUKAの『断食芸人』について、自由に読めといいながら、ちまちまと詳説してくださる本に出遭った。ただ、この先生偉いじゃないの、と思ったのは重箱の隅をつつくような"解釈のヒント"を供しながらも、結局はもっと深く読めるよ、と自由な…

言い訳ばかりの私を変えた夢みたいな夢の話

図書館で書棚をぼんやり見ていて"龍樹"という名前に反応して手に取った一冊。わたしが反応したのは古代インドの龍樹(りゅうじゅ)菩薩を想起しただけだが、この著者は龍樹(たつき)さん。そんな勘違いも何かの縁でしょう。ごくふつうのOLの、自称"フィクシ…

カフカ自撰小品集 (大人の本棚)

時折ふっとFranz Kafuka が読みたくなる。世に言うカフカ的なセカイに浸りたいのだ。 本書は吉田仙太郎先生(ご存命らしい)の名訳再版本。先生は初版の折に、カフカ本人の出版へのこだわりを尊重されて腐心されたが、その足跡をここにも残してくださった。…

あなたは死刑判決を下せますか 小説・裁判員

裁判員制度の裁判員にえらばれたら・・・その視点で綴られた裁判小説。裁判員一人一人のそのつどの葛藤、苦悶には共感してしまうこと多々。そのいみで、共に考えさせられる小説となっている。 が、裁判の進行そのものがこれほど単純でいいのか、と、この設定…

キミのお金はどこに消えるのか (コミック)

大ヒットシリーズ『中国嫁日記』の著者・井上純一がお金にまつわる社会問題を、中国嫁との問答にからめて、おもしろく紹介。経済に無関心なひとも、これを読めば経済通・・・とまではいかないか。

サンデルの政治哲学 〈正義〉とは何か (平凡社新書 553)

マイケル・サンデルの哲学講義が大ブームになったことがあった。当時のわたしは、哲学に希望を持てないでいたのと、流行りに迎合したくないことを言い訳に無視していたのだけれど、今ちょっと後悔しつつ、本書のおかげでサンデル哲学の価値を知ることができ…

逆想コンチェルト 奏の1 イラスト先行・競作アンソロジー

残念だ。(面白くないとは言わないが)イラストが先にあって小説を作る競作とはユニークな企画で興味をそそるのに、企画の面白さが個々の小説の面白さに勝っている。イラストレーターが替われば、ちがう出来映えになるかもしれないが。 内容紹介 「イラスト…

真実のビートルズ・サウンド完全版 全213曲の音楽的マジックを解明

驚愕のビートルズ音楽オタク本だ。"オタク"と形容するとネガティブな印象を付けてしまって申し訳ないので、別の表現をさがしたい。楽曲ごとの一人一人の使用ギターや弾き方、移り変わるコードの詳説なんか序の口で、レコーディング現場の再現性に、とにかく…

朝日ぎらい よりよい世界のためのリベラル進化論 (朝日新書)

朝日新聞の政治姿勢をどうこうしてる本ではない。(まあ毎度の客寄せタイトル。) 日本のわかりにくいリベラルをわかりやすく分析してくれた良書。今の日本に起きている「改革」論議の正体は世代間対立だった。世代によってリベラルの定義なり感覚が全然ちが…

問題は右でも左でもなく下である ~時代への警告~

政治について考える時、いまの日本で問題なのは下、と断じる哲学者(らしくない哲学者)適菜収の著。下とは橋下(維新の会)と橋下的思考のこと。橋下ギライには楽しく読めるだろう。わたしはその部類ではないが、元大阪府民として、かれの言動には「?」の…

誰のために法は生まれた

へんな法学者が、中学3年生から高校3年生およそ30人と"法"の起源・根幹を語り合った5日間の記録。古典的映画を観たり、古代ローマの喜劇脚本を読んだりしながら、法の核心にせまる。10代の探究心はプロの誘導や質問にも臆せず堂々とわたりあう。若い知性がま…

ゲンバクとよばれた少年 (世の中への扉)

長崎原爆被災者の実話。せっかく生き延びた少年が過酷ないじめ・差別に翻弄された現実。おなじ日本人として、だれしもが加害者になる弱さを思い知れ。

編集者の仕事

タイトル通りの内容であーる。なのに、わざわざ掲載するのは気になる情報があったため。本のソウテイの表記は"装幀"が正しいと信じていたのに(一般的には装訂が正しいらしいし)、大阪が生んだ読書人・向井敏の言として「今日では、装丁と書く方がよろしい」…

地球の恋人たちの朝食(上)

気分転換に読む。すっごい気分転換になった。乙女詩人のweb日記は、恋愛がテーマみたいだがちっともうわついてなくて、まるい棘のある哲学詩だ。(なんのこっちゃ。) わたしはkindle本で読んだ。ウェブサイトの試し読みだけでも15ページも読めるらしい。…

哲学の起源

古代ギリシアのイソノミア(無支配)のことは、否定されて謎のまま葬られてきた歴史がいまに繋がっている。その今の世が矛盾に満ちているのであるから、イソノミアに羨望の思いを寄せる現代人があらわれるのは必然だろう。哲学者の役割が問われているし、哲…